介護は急に始まるって、本当?

 「親の介護は急に始まる」とよく言われますが、本当にそうでしょうか?

 介護の始まりには、【急性発症型】と【緩やかな進行型】の2パターンがあると言われています。
 【急性発症型】は、ある日突然、入院となり、介護が必要となるケースで、「脳血管疾患」「転倒による骨折」「心筋梗塞」などが主な要因です。
 【緩やかな進行型】は、徐々に介護が必要になるケースで、「認知症」や「高齢による衰弱」などが主な要因です。

 それでは、介護が必要となった主な要因を統計(※)で見てみましょう。
 今から25年前、2001年の調査結果は以下のとおりです。

1位:脳血管疾患
2位:高齢による衰弱
3位:骨折・転倒
4位:認知症
5位:関節疾患

 【急性発症型】の「脳血管疾患」と「骨折・転倒」が1位、3位となっており、この頃は「介護は急に始まる」と言われていたのもうなずけます。

 一方、昨年、2025年の調査結果は以下のとおりです。

1位:認知症
2位:高齢による衰弱
3位:骨折・転倒
4位:脳血管疾患
5位:関節疾患

 24年間で「認知症」が1位となり、「脳血管疾患」が4位に後退しています。
 つまり、「急に始まる介護」から「緩やかに始まる介護」に変わってきています。

 「緩やかに始まる介護」は、変化が緩やかで気づきにくく、徐々に、買物や病院の付き添いをせざるを得なくなり、「いつから介護が始まったのかわからない」「どの時点で職場に相談すればいいのだろう」「これがいつまで続くのだろう」と悩み、心身共に疲れ切って、介護離職に至ることもあります。
 
 ちなみに、離れている親が少し弱ってきていることを心配しながらも、介護の始まりを認めたくないという心理が働き、「まだ大丈夫」と、何も対応をしない場合は、どうにもならなくなって親戚や近所から連絡が入ることが多いため、結果として「急に始まる介護」になります。

 四半世紀前の「急に始まる介護」に比べ、「緩やかに始まる介護」が増えているため、早めの情報収集を行い、介護が必要となった時の対応について、具体的に考えておくことが可能になります。
 また、企業においても、従業員の介護離職の防止のため、「介護保険サービスの利用方法」や「仕事と介護の両立支援」についての情報を事前に提供することが重要となります。

 (※)厚生労働省「国民生活基礎調査」