東京商工リサーチの「介護離職に関するアンケート」結果について

東京商工リサーチのアンケート*1で、介護離職問題が深刻化していることがわかりました。

就業規則の作成で十分?

昨年1年間に、介護を理由とした退職者が発生した企業は7.3%(大企業12.0%、中小企業7.1%)で、離職者のうち「介護休業」と「介護休暇」のいずれも利用しなかった人が54.7%(大企業38.8%、中小企業56.3%)いました。

介護のため退職した人のうち、半数以上が介護休業などを利用していなかったということになります。

一方、仕事と介護の両立支援に対する企業の取り組み状況について、最も多かったのは

「就業規則やマニュアルなどで明文化」で50.2%、「従業員の介護実態の把握」や「介護休業や介護休暇の周知、奨励」については、10%台でした。

この結果は重要な問題を提示してくれています。

日頃から就業規則をきちんと読んで内容を把握している従業員がどれだけいるでしょうか?急に家族の介護に直面することになった従業員には、就業規則を確認する余裕がないかもしれません。これらのことが介護休業などの制度を利用することなく離職することにつながっているのだと思います。

『改正育児・介護休業法』では、「全従業員への研修の実施」や「介護に直面した従業員への個別の周知」などを求めています。介護離職の防止のためには、それらの具体的な取り組みが必要なのではないでしょうか?

介護休業は93日では、短い?

もう一つアンケートで気になったことがありました。

それは「介護休業は93日では短い」と回答した企業が34.4%あったことです。

その理由で最も多かったのは「介護の終わりの予測が難しいため」が92.6%で、自由回答には「93日でどうこうできる問題ではない」という意見もありました。

介護に専念したら、介護休業の93日ではとても足りないのは事実です。統計によると介護期間の平均は4年7ヶ月*2となっています。

しかし、「介護休業」は介護に専念するのではなく、「仕事と介護の両立のための準備をする期間」と考えてはどうでしょうか?

介護休業の期間で介護保険制度をうまく活用して、そのマネジメントをする時間ととらえるのです。育児休業は、従業員が子育てに専念しますが、介護休業の場合はその点が大きく異なります。

『改正育児・介護休業法』では、40歳等の従業員に対して情報提供を求めていますが、その際に「介護の体制を構築するため一定期間休業する場合に対応するものなど、各種制度の趣旨・目的を踏まえて行うことが望ましい」しているのはこのためです。

介護休業をどのように活用するか、従業員への情報提供が必要ではないでしょうか?

資料出所

*1 東京商工リサーチの「介護離職に関するアンケート」
今年4月1日から8日にインターネットによるアンケートを実施し、有効回答5,570社を集計・分析した。
資本金1億円以上を大企業、1億円未満(個人企業等含む)を中小企業と定義した。

*2 介護期間
生命保険文化センター「2024年度生命保険に関する全国実態調査」