訪問介護事業所の空白地域とは

 訪問介護事業所が減り続けています。

 訪問介護とは、訪問介護員(ヘルパー)が利用者の住宅を定期的に訪れて、入浴や排せつ、家事を手伝う介護保険サービスのことです。
 この訪問介護を利用する人が増え続けているにもかかわらず、昨年、倒産した訪問介護事業所は91件で、自主的に休廃業したのは465件でした。
 倒産も休廃業も過去最多で、他の介護保険サービス業の「通所・短期入所」や「有料老人ホーム」のそれを大きく上回っています。(2026年1月23日東京商工リサーチ発表)

 訪問介護事業所が減少した結果、訪問介護「ゼロ」が115町村、「残1」が269市町村となっています(2025年6月末、全国集計)。
 「ゼロ」というのは、自治体に訪問介護事業所が1件もない状態、「残1」というのは、残り1件しかない状態ということです。
これは、訪問介護を必要とする高齢者が、サービスを受けたくても受けられないということを示しています。

 都道府県別でみると、「ゼロ」は北海道が15町村でトップ、長野県が11、沖縄県が10、高知県が9,福島県が8と続きます。
 今後、「ゼロ」や「残1」の市町村が更に増加することが想定されます。
 つまり、日本全国に訪問介護事業所の空白地帯が広がっていくのです。

 福岡県は、「ゼロ」はなく、「残1」が4町村でしたが、昨年12月末時点での倒産・休廃業の件数が37件※と全国第5位でしたので、「ゼロ」や「残1」が増える可能性は大いにあります。 

 訪問介護事業所の倒産・休廃業が増加している一番の理由は、「人手不足」です。
 訪問介護員の不足でサービス提供を断ったことがある訪問介護事業所は、89.4%もあります(2025.年4月 日本介護クラフトユニオン調査)。
 また、利用者の事情による突然のキャンセルや、複数の利用者宅への移動時間が長いことも、訪問介護事業所の不安定な経営の原因になっています。

 国は、現在、社会保障審議会において、訪問介護事業所の経営の安定を図るため、利用回数に左右されない月単位の定額報酬を選択可能とすることを検討しています。

※訪問介護事業所を含む介護事業者全体の数字