男性の介護離職者が急増

 令和6年の「雇用動向調査」(厚生労働省:毎年8月)が公表されました。


 調査結果では、家族の介護・看護を理由に離職した人は、前年より約3割増加しています。(71,800人→ 93,500人)
 特に、男性の介護離職者は2倍以上の増加となっています。
 一方、女性は5.7%の増加となっています。

 離職者数だけを見ると、女性のほうが男性より多いのですが、離職者に占める割合を見ると、男性の占める割合は、平成の半ばまで約1/10だったものが、平成の終わりには1/4となり、令和4年には1/3を占めるようになっており、大幅な増加傾向が認められます。

 調査結果からは、従来のいわゆる「嫁介護」がほとんどなくなってきていることがわかります。ほとんどの女性が仕事を持っており、自身も親の介護で忙しいため、配偶者の親の介護まで事実上できなくなっているのがその原因といえます。

 また、平成30年以降は、出産・育児を理由とした離職者より介護離職者のほうが多くなっています。
この理由は、大きく3つあると思います。

 第1は、出生者数が減少しているのに対して、高齢者が増加していること。

 第2は、国の出産・育児対策の取組みに比べて、高齢者対策が十分に対応できていないこと。
例えば、待機児童数は令和6年に、約2,500人(平成29年をピークに8年連続減少)であるのに対して、特別養護老人ホームの待機者数は、令和4年で、約27万人となっています。
 
 第3は、企業において、仕事と育児の両立支援制度(育児休業など)に比べ、仕事と介護の両立支援制度(介護休業や介護休暇、時短勤務など)の活用が進んでいないこと
 これは、仕事と介護の両立支援制度について、企業が十分に周知できておらず、実態の把握も困難で、従業員も両立支援制度の知識がないことが背景にあります。

 企業単位では、第1と第2の課題はどうしようもありませんが、第3の課題は早急に対応できることです。
 人手不足感が高まる企業にとって、貴重な人材が介護のために離職することは経営上の大きなリスクとなります。しかし、適切な両立支援を行えば、従業員も能力を十分に発揮しながら働き続けることができ、ひいては、企業の持続的な成長にもつながると思います。