労災保険は、ケガだけではなく、長時間労働を原因とした脳・心臓疾患についても認定されます。
また、精神障害(うつ病や急性ストレス反応など)を発症した場合にも、それが仕事による強いストレスによるものと判断できる場合も認定されます。
介護労働者の労災は、従来から、「転倒」や「動作の反動・無理な動作」などによるものが多いのですが、近年は精神障害を発症したことによる認定も増えています。
全国の精神障害による労災請求件数は3,780件(令和6年度、全業種)で、令和元年より83%増加しており、支給決定件数は1,055件(同)で、令和元年より107%増加し、倍増しています。
これを、介護労働者について見てみると、労災請求件数が230件で、63%の増加、支給決定件数は62件で、138%と倍以上の増加となっています。
他の職種と比較しても、労災請求件数は第4位、支給決定件数は第3位と、精神障害による認定が多いことがわかります。
精神障害の出来事別の支給決定件数(同)も出ていますが、最も多い順に、
①パワーハラスメント 224件
②顧客や取引先、施設利用者等から著しい迷惑行為を受けた 108件
③セクシュアルハラスメント 105件
となっています。
②は、いわゆる「カスタマーハラスメント」のことで、まだ法律で明文化されていないため、このような表現になっていると思いますが、支給決定件数(同)は、令和元年の約20倍となっており著しく増加しています。
出来事別の支給決定件数について、職種別の件数が公表されていませんが、介護労働者は、この「カスタマーハラスメント」と「セクシュアルハラスメント」の被害をかなり受けているのではないかと思います。
介護労働者が「ハラスメント」により、精神障害になったり、退職するなどということになれば、労働者不足に拍車がかかります。ひいては、介護サービスを受けたくても受けられない事態になると思われます。
介護業界では、「ハラスメント」を「上手くかわしてこそプロ」とされてきた現実もあるでしょうが、はたして適切なアドバイスだったのでしょうか?
現在、厚生労働省の審議会において、「カスタマーハラスメント」が審議されており、来年秋に事業者が取り組むべき指針が公表される予定です。
